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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻4号

1978年04月発行

今月の主題 クローン病(2)

主題

大腸クローン病の診断―臨床,X線,内視鏡,生検診断

著者: 樋渡信夫1 渡辺晃1 後藤由夫1

所属機関: 1東北大学医学部第3内科

ページ範囲:P.461 - P.472

文献概要

 クローン病は1932年Crohnら1)によって,回盲部結核とは異なる新しい臨床的,病理学的疾患単位としてregional ileitisの名称で報告されたものであるが,その後回腸末端部ばかりでなく,大腸(Colp2),1934;Crohn and Rosenak3,1936)およびその他の消化管にも病変のある症例が報告されるに至り,regional enteritisまたはCrohn's diseaseと称されるようになっている.一方,クローン病に似た肉芽腫性病変が大腸だけにみられる場合については,大腸の原因不明の非特異性炎症である潰瘍性大腸炎との異同が問題となるので,1950年代まで潰瘍性大腸炎に含めて扱われていた.しかるに,近年,クローン病に似た肉芽腫性病変を示す大腸炎の多くは,臨床的,病理学的所見を総合すれば潰瘍性大腸炎と区別できることが明らかにされ,Colonic form of Crohn's disease(Wells4),1952),Crohn's colitis(Brooke5),1959),Crohn's disease(regional enteritis)of the large intestine(Lockhart-Mummery and Morson6),1960),Granulomatous colitis(Wolf and Marshak7),1962)などと呼ばれ,ことに1968年のプラハでの国際消化器病学会議以来Crohn's disease of the colonと称されている8).なおこれらはCIOMSの国際用語集9)ではregional colitisと呼ぶこととなっている.

 わが国においてはクローン病の報告に多くの急性型が含まれているなど長年にわたって混乱を招いていたが,1975年に「日本消化器病学会クローン病検討委員会(委員長;山形敞一)」,および難病対策のための「厚生省特定疾患クローン病調査研究班(班長:土屋周二)」が組織され,同様の診断基準(案)10)11)が作成され,ようやく同一の概念,診断基準のもとに本症が討議されるようになってきた.この診断基準によれば,クローン病の診断は臨床および病理所見の特徴(積極診断)と類縁疾患の除外(除外診断)とにより総合的に行うことになっている.今回は主題が大腸クローン病であるので,東北大学第3内科をおとずれた大腸に病変を有するクローン病確診例12例(小腸大腸クローン病5例,大腸クローン病7例)(Fig.1)の成績を中心に内科の立場での積極診断,つまり症状,臨床検査所見,X線所見,内視鏡所見,生検所見における本症の特徴と,除外診断としてはわが国ではもっとも問題である腸結核との鑑別について述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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