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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻4号

1978年04月発行

文献概要

胃と腸ノート

英国における内視鏡検査教育法

著者: 木津稔1

所属機関: 1京都府立医科大学公衆衛生学教室

ページ範囲:P.516 - P.516

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 消化器内視鏡検査の教育方法は,本検査が少数のパイオニアによる特殊検査から日常の臨床検査となりつつある英国においても,今日,重要な課題となっている.1976年に,英国消化器内視鏡学会(BSDE)が全会員に対して行った内視鏡に関する調査結果と1),筆者が2年間滞在したロンドンの1病院での経験をもとにして,英国における内視鏡検査の実際とその教育方法について簡単に論じてみる.

 調査では,内視鏡に従事する医師の半数は内科医,28%は外科医で,また検査の75%は上級医師(consultant,senior registrar)によって実施されていた.一方,現在内視鏡に従事している医師の半数以上は過去に特別な訓練を受けていなかった.これらの医師はjunior staff(registrar,house officer)に対して,適宜,指導を行っているが,系統だった教育はわずか数パーセントの施設で行われているのにすぎなかった.以上より,英国における内視鏡検査は,必要に応じて,特別な訓練を受けていないsenior staffによって実施され,そして系統だった教育なしにjunior staffに伝えられている傾向を示した.これは,英国の内視鏡検査が比較的操作の簡単なファイバースコープの開発以後に導入され,広く行われるようになったからと推定される.しかし,消化器病診断学における内視鏡検査のneedは年々増加しており,正しい内視鏡技術と知識を身につけた消化器医の養成が望まれている.事実,調査に回答した大部分の医師は,将来に,内視鏡検査は専門医として訓練された消化器医によってのみ行われるべきだと考えている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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