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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻4号

1978年04月発行

文献概要

今月の主題 クローン病(2) 症例

大腸クローン病の2例

著者: 塚本長1 豊野充1 山崎匡2

所属機関: 1山形大学医学部第1外科 2東北大学医学部第1外科

ページ範囲:P.537 - P.541

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 大腸クローン病については,潰瘍性大腸炎との鑑別を中心に,Lockhart-Mummeryらの報告1)2)以来,注目されてきているが,ここでは,自験2症例の臨床所見を紹介し,確診のための問題点および治療法について考察したい.

症例

 〔症例1〕

 橋○○子 22歳 女 事務員

 主 訴:粘血便

 既往歴:特記すべきことなし

 現病歴:1)約4年前より,貧血および大腸のレ線検査により左側結腸が細いことを指摘されていた.便通はやや下痢気味であったが,そのまま放置していた.その後,他医より痔瘻の診断の下,手術をうけ,約3カ月治療したが軽快せず,2年間に3度,瘻痩に対する手術を受けた.この頃になって粘血便の排出を認め,Tenesmusはないが,ときに1日10行前後の下痢をみた.直腸鏡検査により,潰瘍性大腸炎の診断をうけた.

 2)約1年前,瘻痩および肛門周囲膿瘍のため切開手術を受け,同時に潰瘍性大腸炎に対しステロイド剤などの内服をすすめられ,約6カ月間の治療で愁訴は軽快した.

 3)しかし,3カ月前より再び粘血便とともにTenesmusが出現,ステロイド剤を使用したが軽快せず,手術適応とされた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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