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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻5号

1978年05月発行

今月の主題 消化管粘膜拡大観察と病態生理

主題

十二指腸・小腸の粘膜拡大観察と病態生理

著者: 平塚秀雄1 後町浩二1 田中三千雄2 堤京子2 鈴木茂2

所属機関: 1平塚胃腸病院 2東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.615 - P.624

文献概要

 小腸粘膜拡大観察法(ここでは粘膜断面の拡大ではなく,粘膜表面からの拡大を指す)としては,現在次の手段が考えられる.すなわち内視鏡による生体下の観察,生検材料,手術剔出標本,剖検例の材料を用いた実体顕微鏡あるいは走査電子顕微鏡による観察,そして造影剤で描写したX線写真によるものである.

 ヒト小腸(十二指腸,空腸,回腸)粘膜を対象とした拡大観察に関しては,歴史的には実体顕微鏡による方法がもっとも早く(1960)1),走査電子顕微鏡による方法はかなり後である(1969)2)3).内視鏡による拡大観察は,小腸の中で最初に内視鏡検査の対象となった十二指腸においてまず始められた.当初は色素撒布による絨毛の観察が試みられているが(1968)4),具体的な粘膜拡大率については言及されていない.さらに胃と十二指腸球部まで観察可能な拡大内視鏡が開発され,“微細観察”との表現のもとに約15倍に拡大された十二指腸絨毛像が観察されている(1972)5).またこれに少し遅れて,十二指腸主乳頭の微細観察(拡大率約2倍の内視鏡観察と同時に実体顕微鏡観察)についても報告がある(1975)6).さらに下部の小腸においては,まず色素撒布による絨毛形態の観察が行われ(1975)7),拡大率は考慮されていない),さらに専用の拡大内視鏡も開発されるに至って(1977)8),小腸粘膜の内視鏡による拡大観察は飛躍的な進歩をとげることとなった.なおX線による小腸粘膜の拡大観察については,まだ本格的なアプローチはない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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