文献詳細
症例
sm浸潤部に著明なリンパ組織の増生をみたⅡc型早期胃癌の1例
著者: 佐藤英典1 五十嵐勤1 角田俊平1 安斉幸夫1 児玉健夫1 荒井清一1 植木洋司1 坂本輝明1 栗原陽一1 三浦憲二1 渡部重雄1 佐藤澤也2 飯塚鉄郎2
所属機関: 1福島医科大学第2内科 2医療法人佐藤病院
ページ範囲:P.675 - P.680
文献概要
患 者:K. H. 60歳 男
主 訴:心窩部不快感
家族歴・既往歴:特記することなし
X線所見:深達度smのⅡc型早期胃癌
肉眼所見:深達度mのⅡc型早期胃癌,粘膜凹部の大きさ14mm×13mm
組織所見:深達度sm,組織型poorly differentiated adenocarcinoma,Ul-Ⅱの瘢痕と粘膜下層に限局したLymphoid hyperplasiaを伴う.
切除胃肉眼所見(Fig. 1,2)切除胃は大彎やや後壁寄りで切り開いてある.病変は幽門より8cm噴門側の前壁にあり,粘膜陥凹の大きさは,14×13mmである.比較的境界明瞭な地図状の粘膜陥凹,集中する粘膜ひだ先端のヤセおよび中断などから,Ⅱcの診断は容易である.粘膜陥凹中心部のやや噴門側大彎寄りに粘膜ひだが集中し,そこに潰瘍瘢痕が存在することを示している.そして,粘膜ひだ集中中心部には小結節状の所見が認められる.
掲載誌情報