文献詳細
胃と腸ノート
pure pancreatic juice analysisによる慢性膵炎の診断
著者: 木津稔1 川井啓市1
所属機関: 1京都府立医科大学公衆衛生学教室
ページ範囲:P.760 - P.760
文献概要
しかし,純膵液においても以一Lのような,conventionalな因子の検討では従来のP-S試験以上に秀れている点は報告されていず,新しいparameterの発見のために生化学的・形態学的検討が進められている.慢性膵炎に際して,膵液中のアルブミン/総蛋白の比は増加し,また鉄結合性蛋白であるlactoferrinが認められるとい
う報告がある(Sarles,マルセイユ).分子量69,000のlactoferrinは乳腺,唾液腺,気管支粘液腺などから分泌され,正常者の膵液には存在しない.この蛋白は石灰化膵炎患者の膵液には極く微量(総蛋白の0.03~0.34%)に認められ,膵管中のprotein plugの形成に一役かっていると推定されている.しかし,lactoferrinは慢性膵炎例に必ずしも証明しえず,今後の詳細な検討が待たれている.膵液中の蛋白質は血清蛋白成分を除くと大部分は酵素あるいは酵素原であり,現在,これら各種酵素の定性および定量が行われ急性あるいは慢性膵炎での意義について検討が進められている.
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