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今月の主題 胃・十二指腸潰瘍の治療の検討 主題
胃・十二指腸潰瘍の治療法の評価―とくに十二指腸潰瘍について
著者: 西沢護1 野本一夫1
所属機関: 1東京都がん検診センター
ページ範囲:P.795 - P.804
文献購入ページに移動 冒頭の序説で岡部教授により述べられているように,胃または十二指腸潰瘍に対する薬物,安静,食事療法などによる治療効果として,①上腹部疹痛をはじめとする自覚症状の消失,②潰瘍治癒の促進,③再発防止による潰瘍歴の離脱の3つの問題点のうち,①と②についてはかなりの報告がみられるが,①を除いては明確な薬剤の効果の証明はされていない.ことに③については,ほとんど仕事らしい仕事がみられない.この再発防止による潰瘍歴の離脱については,どのようなアプローチをしてよいかすらわからないが,薬物を主として安静,食事,生活指導などが,どの位十二指腸潰瘍の再発防止に役立っているかの手がかりをつかむため,著者らが1963年から1976年までに,同一集団の健康人の胃集団検診から発見された十二指腸潰瘍の逐年検診から得た治療成績について,形態学的立場から一考察を加えてみた.
研究対象
潰瘍治療の研究には,その対象のとり方が非常にむずかしい.治療開始時の性,年齢,診断方法(X線診断によるか内視鏡診断によるか),治癒判定の基準などだけでも一定にすることは容易でないが,それに潰瘍が初発か再発か,また再発ならばどの位の長さの潰瘍歴をもっているものかなどを一定にすることは,まず不可能に近い.いわんや,大学のような終末医療機関,それも内科受診患者と,外科受診患者はもちろんのこと第一線の医療機関を訪れる患者を対象とするのとでも,集められた潰瘍の種類,時期がかなり異なるのは当然である.すなわち,各自の対象としている患者は,いろいろな大きさの網目の酷(フルイ)にかけられたものであるから,それらのデータは同一レベルで比較できるものではない.しかし,それと同時に,数多くの対象を扱う時には,対象の検査の程度がどれ位正確なものであるかがデータに信用がおけるかどうかの因子の一つと考えている.
研究対象
潰瘍治療の研究には,その対象のとり方が非常にむずかしい.治療開始時の性,年齢,診断方法(X線診断によるか内視鏡診断によるか),治癒判定の基準などだけでも一定にすることは容易でないが,それに潰瘍が初発か再発か,また再発ならばどの位の長さの潰瘍歴をもっているものかなどを一定にすることは,まず不可能に近い.いわんや,大学のような終末医療機関,それも内科受診患者と,外科受診患者はもちろんのこと第一線の医療機関を訪れる患者を対象とするのとでも,集められた潰瘍の種類,時期がかなり異なるのは当然である.すなわち,各自の対象としている患者は,いろいろな大きさの網目の酷(フルイ)にかけられたものであるから,それらのデータは同一レベルで比較できるものではない.しかし,それと同時に,数多くの対象を扱う時には,対象の検査の程度がどれ位正確なものであるかがデータに信用がおけるかどうかの因子の一つと考えている.
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