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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻6号

1978年06月発行

今月の主題 胃・十二指腸潰瘍の治療の検討

主題

胃潰瘍の治療の検討―外科的立場から

著者: 武藤輝一1 小山真1 松木久1 福田稔1 奈良井省吾1

所属機関: 1新潟大学医学部第1外科

ページ範囲:P.813 - P.822

文献概要

 最近は診断技術の向上により胃潰瘍と胃癌の確実な鑑別が容易となり,胃潰瘍に対する内科的治療法が積極的に行われている.たしかに20年前に比較すれば胃潰瘍の手術症例数はやや少なくなっているが,大変少なくなったというほどでもない.五ノ井1)によれば胃潰瘍の平均治癒率は29%と1/3を越えていない.しかも原2)によれば内科的治療により治癒した潰瘍も11~12年を経過するうち71%に再発がみられるという.この原の報告から累積再発率を推定すると,もし20年の経過を観察しえたとしたらその再発率は90%に達するという1).このような報告からみると胃潰瘍は治りにくいものが多く,いったん治癒しても長い経過の中にはほとんど再発するということになる.この辺が今日なお胃潰瘍手術症例数に極端な減少のみられない理由であろう.

 ところで手術する側からみて胃潰瘍と十二指腸潰瘍の手術例数に変わりはないだろうか.Table 1は教室における手術症例数であるが,胃潰瘍に対し十二指腸潰瘍に共存潰瘍を加えたものの症例数の比は1961~65年では2:1であるのに対し1971~77年では1:1となっている.これは著者らの施設だけではなく本邦における最近の一般的傾向のようである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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