文献詳細
胃と腸ノート
ERCP像の読影(1)―observer variationについて
著者: 木津稔1 川井啓市1
所属機関: 1京都府立医科大学公衆衛生学教室
ページ範囲:P.916 - P.916
文献概要
ERCP像のみの読影診断は慢性膵炎と膵癌の鑑別にしばしば困難を伴う.通常,両者の最も簡単な鑑別方法は膵癌では病変部―狭窄・拡張や閉塞など―までの乳頭側膵管は正常もしくは尾側に比して極く軽度であるが,慢性膵炎では膵全体の膵管像にびまん性の変化をみる点であろう.しかし,この鑑別点は常に完壁でなく,進行した膵癌ではびまん性の膵管変化が観察される.また膵癌は通常慢性炎を随伴し,膵癌膵管像の詳しい組織学的対比によると,膵管のX線変化がしばしば随伴性膵炎によるものであることが知られている.
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