icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻7号

1978年07月発行

文献概要

今月の主題 慢性膵炎 主題

膵管像における診断基準をどう考えるか

著者: 大井至1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器内科

ページ範囲:P.927 - P.940

文献購入ページに移動
 「膵管像からみた慢性膵炎の診断基準は」と問われれば,答は「分からない」の一語につきてしまう.ここでは,膵炎(あえて慢性膵炎とは言わない)の膵管像,すなわち膵管像からみた膵炎についての私見を述べてみたい.

 筆者は,以前より慢性膵炎の膵管像については,明らかな,所見の明白なものからアプローチをするようにしていたが,この考えは今日でも変わりはない.この一文を書くにあたっての筆者の立場は,次のように要約できると思う.膵管造影については,造影手技にまだ多少の問題は残しているが,膵管の変化を忠実に描写し,特に,限局性の変化の把握に威力を発揮する.膵管像に異常のある場合には,組織学的にも何らかの変化が膵管に存在せねばならないと考えている.次に,現在の慢性膵炎の診断基準に関しては,病理組織学的にも部位により組織像に大きな違いがみられることが少なくない,膵石の成因は一様でなく6),しばしば末期像として膵石症という形がとられる,PS試験の成績は経過中に変化することがある,などの問題点を持っていると考えている.また,PS試験は本質的には膵の外分泌腺の機能をみているのであって,膵管の形態をみる膵管造影とは基本的に立場を異にしている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?