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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻8号

1978年08月発行

今月の主題 症例・研究特集

症例

術前診断できた多発微小Ⅱb~Ⅱc型早期胃癌の1例

著者: 鎗田正1 白壁彦夫1 長浜徴2 桑原紀之3 渡辺勇3

所属機関: 1順天堂大学医学部内科消化器 2順天堂大学医学部外科 3順天堂大学医学部病理

ページ範囲:P.1081 - P.1088

文献概要

 いま10mm以上の早期癌ならルーチンに診断でき,5~10mmの小さなものでも注意深いX線検査でひろい上げ確診できるようになった.だが,より小さな5mm以下の微小癌,それもⅡbのような粘膜の凹凸の差のないものでは,診断が不能であると思われていた.しかし,最近,生検がルーチン化するにしたがって,少しずつではあるが,このような微小Ⅱb病変が術前診断されるようになっている.われわれも,術前に2ヵ所の微小Ⅱb,Ⅱc病変と診断し,切除標本の組織学的検索で12ヵ所に切片上,最小0.2mm,最大3mmまでのⅡb~Ⅱc型微小癌巣が発見された症例を経験した.この症例でX線,内視鏡診断の限界について検討したので報告する.

 症 例

 患 者:51歳 家婦

 主 訴:胃部不快感,筋肉痛

 家族歴:父親,59歳時,肺癌で死亡

 既往歴:10歳,胃潰瘍,19歳,結核性腹膜炎,20歳,胸膜炎,29歳,リウマチ熱,39歳,巨大結腸切除術

 現病歴:10歳時,吐血し某医で胃潰瘍と診断されている.その後も時々上腹部痛があり,胃潰瘍と診断され治療を受けていた.1974年2月胃部不快感があり,某医で胃X線・内視鏡倹査を受け,胃潰瘍と診断され入院加療している.1974年9月全身の関節痛が強くなり,リウマチ熱と診断され,以来,今日までプレドニソロン5~10mgを連用してきた.1976年5月,同様の主訴と筋力低下を自覚し,精査を求めて本院膠原病内科を受診した.臨床症状より多発性筋炎または皮膚筋炎を疑われ,胃潰瘍の既往もあり,胃の悪性腫瘍を否定する必要があった.胃X線・内視鏡的に精査し,多発微小胃癌と診断した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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