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今月の主題 症例・研究特集 症例
ポリープの一部に悪性化像を認めたPeutz-Jeghers症候群の1例
著者: 坂口潮1 原田貞美1 笹原寅夫1 内田満国1 横山育三1 鶴田克昭2 服部正裕2
所属機関: 1熊本大学医学部第1外科 2鶴田病院
ページ範囲:P.1089 - P.1096
文献購入ページに移動症 例
患 者:二○石○子 26歳 女性
主 訴:腹痛,嘔吐
既往症:幼児期から口唇の色素斑があった,1959年,9歳の頃から時々腹痛を訴えていた.1962年,12歳の時,腹痛を訴え,某医で慢性虫垂炎の診断の下に虫垂切除術を受けた.
現病歴:1964年,14歳の時,腹痛および嘔吐を訴え某医を受診し,腸閉塞と診断されて当科へ紹介された.この時は回腸末端より約1m口側の回腸のポリープによるintussusceptionであり,ポリープ2コを含めた回腸の部分切除を受けた.上下の口唇,口腔粘膜に粟粒大の黒色の色素斑,足蹠にも同様の色素斑を数コ認めた.切除された回腸ポリープの組織学的検索の結果,過誤腫性ポリープと診断され,Peutz-Jeghers syndromeと診断された.その後約9年間は特記すべき症状はなかったが,1973年,23歳の時,時々腹痛および下血を認めるようになった.注腸透視および大腸ファイバースコープ検査の結果,下行結腸に認められた数コのポリープの中の1コから出血していたので,これに対して内視鏡的にpolypectomyを行った.しかし,その後も間歇的に腹痛が反復し,下血も続いたので輸血などの対症療法と内視鏡的polypectomyを数回施行した.1976年10月,再度,腹痛・嘔吐を呈し,某医で腸閉塞と診断され,開腹術を受けたところ,空腸のポリープを先進部とする小腸重積症と判明し,重積部の空腸切除と,空・回腸および結腸のポリープ合計14コのpolypectomyが行われた.術後1カ月目に食事と無関係に左上腹部痛および背部痛を訴えたので保存的治療を続けたが軽快しないので,1977年1月,熊本大学第1外科へ転医した.
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