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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻8号

1978年08月発行

文献概要

今月の主題 症例・研究特集 症例

大腸クローン病―著明なmucosal bridgeを形成した1例を中心に

著者: 磨伊正義1 沢崎邦広1 秋本龍一1 木南義男1 竹内功2 山本恵一3 北川正信4

所属機関: 1金沢大学がん研究所付属病院外科 2竹内病院 3富山医科薬科大学外科 4富山医科薬科大学病理

ページ範囲:P.1097 - P.1104

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 クローン病は潰瘍性大腸炎とともに原因不明の炎症性大腸疾患inflammatory bowel disease(IBD)を代表する疾患で,慢性の経過をたどり,治療に難渋することがきわめて多い.最近われわれは長期間の経過観察中に再発し,再手術を余儀なくされた大腸クローン病を経験した.切除標本の病変部はmucosal tag,mucosal bridgeを形成する著明なinflammatory polyposisを伴っており,特異な肉眼形態を呈していた.本稿ではこの症例の臨床並びに病理所見を紹介し,併せて結核や潰瘍性大腸炎との鑑別診断につき,若干の考察を加える.

 症 例

 患 者:塩○俊○ 44歳 男 織物業

 主 訴:右臍部の有痛性腫瘤,腹部膨満感

 家族歴:特記すべきことなし

 既往歴:30歳の時虫垂切除術

 現病歴:32歳の時右下腹部の鶏卵大の腫瘤ならびに腸管狭窄症状をきたし,金沢大学第1外科にて大腸右半切除術を受け(1965年4月3日),病理診断により大腸クローン病であることが判明した.その後約10年間腹部症状はなく,順調に経過しているが,初回手術半年後より,手指,足,膝関節などに非対称性,かつ移動性の関節炎をみており,鎮痛剤やステロイド投与などにより軽快している.1976年1月頃より右臍部に再び有痛性の腫瘤を認め,某病院にてクローン病の再発として内科的治療を受け,一時寛解した.しかし,同年6月再び腹痛が増悪し,腹部膨満,るいそうが著明となり,subileus症状を呈したため,当科へ転科した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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