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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻9号

1978年09月発行

文献概要

今月の主題 腸結核(3)―疑診例を中心に 主題症例

病理組織学的に腸壁に典型的な結核竈を認めなかった陳旧性(狭窄性)小腸結核の1例

著者: 青山大三1 鍋谷欣市2 花岡建夫2 李思元2 入村哲也2 三浦二三夫2 川原哲夫2

所属機関: 1杏林大学医学部放射線科 2杏林大学医学部第2外科

ページ範囲:P.1189 - P.1196

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 「胃と腸」12巻11号と12号は腸結核の特集として発行され,その詳細は明示されている.しかし,戦前および戦直後にみられた病像と現在の病像とでは,そのあらわれかた,頻度は大きく変化している.その主因は現在の栄養状態,抗結核剤の進歩と普及,菌の変化などが考えられ,病理組織学的に典型的な像のあるものは明らかであるが,典型的な所見を認めえないものはその診断に迷うことがある.現在では結核は難治とはいいがたく,その治癒的変化が進行し,その極限に達すると非特異性炎症としかいいにくい状態になる.病像の逆追跡の面からみても,10年,20年,30年と古くなればなるほど,非典型的な病像しか示さない可能性も強くなってくる.欧米では本疾患は稀とされ,典型的病像を示さないものはクローン病との鑑別が容易でないことすらある.

 本稿では結核歴が三十数年前にあり,空腸の組織学的診断で困難性を示した1症例を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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