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文献概要
今月の主題 腸結核(3)―疑診例を中心に 主題症例
小腸結核疑診の1例
著者: 藤田晃一1 門野洋児1 岡田安浩1 中野元1 青沼脩次郎1 渡辺英伸2 八尾恒良3
所属機関: 1福岡赤十字病院内科 2九州大学医学部第2病理 3九州大学医学部第2内科
ページ範囲:P.1237 - P.1242
文献購入ページに移動今回,われわれは,このような「腸結核疑診」ともいうべき症例を経験したので報告する.
症 例
患 者:西○ハ○エ 60歳 女性
主 訴:右下腹部痛,腹鳴
家族歴:特記すべきことなし
前病歴:1965年頃,肺炎の診断で40日間入院,以前にSM,PASなどの抗結核剤の投与をうけたことはない.マントー反応は不明.
現病歴:1969年頃,右側下腹部痛あり.某大学病院内科に精査のため3カ月入院.その時,経口小腸透視で小腸の一部に狭窄様所見を指摘されたが,症状軽減したため,そのまま放置した.退院後も,年に1~2度の割合いで右下腹部痛を覚えるようになったが,そのたび近医で鎮痛剤の投与をうけ,症状は軽快していた.1976年8月,同様の腹痛および腹鳴が出現し,近医のすすめで当科に入院した.
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