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文献詳細

雑誌文献

胃と腸13巻9号

1978年09月発行

文献概要

今月の主題 腸結核(3)―疑診例を中心に 主題症例

小腸結核疑診の1例

著者: 藤田晃一1 門野洋児1 岡田安浩1 中野元1 青沼脩次郎1 渡辺英伸2 八尾恒良3

所属機関: 1福岡赤十字病院内科 2九州大学医学部第2病理 3九州大学医学部第2内科

ページ範囲:P.1237 - P.1242

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 本邦においては欧米と異なり,腸結核はそれほど稀な疾患ではないと考えられる.腸結核の診断は,病理学的に腸病巣,腸間膜リンパ節に抗酸菌ないし結核菌が認められる場合,また,乾酪性肉芽腫などが証明される場合は容易であるが,腸結核が自然治癒,または抗結核剤の投与などで病理学的に非特異性炎症を呈する場合には,他の腸疾患との鑑別が問題となる.この場合には臨床経過,X線や内視鏡検査および病理学的検索などを総合して診断せざるを得ない.

 今回,われわれは,このような「腸結核疑診」ともいうべき症例を経験したので報告する.

症 例

 患 者:西○ハ○エ 60歳 女性

 主 訴:右下腹部痛,腹鳴

 家族歴:特記すべきことなし

 前病歴:1965年頃,肺炎の診断で40日間入院,以前にSM,PASなどの抗結核剤の投与をうけたことはない.マントー反応は不明.

 現病歴:1969年頃,右側下腹部痛あり.某大学病院内科に精査のため3カ月入院.その時,経口小腸透視で小腸の一部に狭窄様所見を指摘されたが,症状軽減したため,そのまま放置した.退院後も,年に1~2度の割合いで右下腹部痛を覚えるようになったが,そのたび近医で鎮痛剤の投与をうけ,症状は軽快していた.1976年8月,同様の腹痛および腹鳴が出現し,近医のすすめで当科に入院した.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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