追悼
吉井隆博教授追悼の辞
著者:
望月孝規1
竹本忠良2
所属機関:
1都立駒込病院病理科
2山口大学第1内科
ページ範囲:P.96 - P.96
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吉井先生が,北米で溝演中に倒れ,おなくなりになりました.御苦労の末,仕事が軌道にのったときだけに,先生としても誠に心残りでなかったかと,残念におもいます.私は,毎月の早期胃癌研究会の折に,先生と必ずお目にかかり,症例の病理学的説明をうかがい,ときにはそれに対し討論する機会にも恵まれ,また先生の著書や論文からも教えをうけました.私のみならず,多数の臨床の先生方が吉井先生の教えをうけ,大そうお世話になりました.いまさらのごとく,先生の活動力の大きさを感じると共に,その早逝が惜しまれます.研究会場の薄闇の中で,先生は最前列の席で顕微鏡をみていましたが,いまなお「吉井先生,この標本は……」と,うっかり話しかけてしまうことがあります.その様に,突然,先生はわれわれと別れ去ってしまいましたが,研究会のたびに,先生の面影は,われわれの心の中になつかしくよみがえって来,われわれの勉強を励して下さるとおもいます.心から御冥福をお祈り申上げます.