症例
選択的動脈造影で診断した,空腸壁動静脈形成異常(Arteriovenous malformation)の1例
著者:
天目純生1
笠原小五郎1
高橋正年1
青柳豊1
宮田道夫1
森岡恭彦1
酒井秀朗2
古瀬信3
小池盛雄4
所属機関:
1自治医科大学消化器外科
2自治医科大学消化器内科
3自治医科大学放射線科
4自治医科大学附属病院病理部
ページ範囲:P.103 - P.108
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消化管出血例においては,出血部位の確定,質的診断の確立が重要であるが,バリウム造影検査,内視鏡検査など通常の検査法では診断できないものも多い.選択的動脈造影法は従来の検査法では発見できなかった病変の発見に有効であり,本法によっていくつかの疾患が診断可能となってきた.そのうちの1つとして,1960年Marguilisら1)が動脈造影によって最初の消化管の動静脈形成異常(Arteriovenous malformation)を報告しているが,以来この疾患の重要性が注目されてきている.われわれは最近選択的動脈造影ではじめて診断でき,手術で治癒せしめた,きわめて微小な空腸壁の動静脈形成異常の1症例を経験したので,若干の考察を加えて報告する.
症 例
患 者:50歳 女性
主 訴:下血,左上腹部痛
既往歴:46歳の時,虫垂切除術を受けた
家族歴:特記すべきことなし