icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻10号

1979年10月発行

文献概要

今月の主題 消化管の健診を考える 主題

健診を指向した胃癌の早期診断―集団医学の立場から

著者: 愛川幸平1

所属機関: 1大阪府立成人病センター研究所第10部兼病院集検第2部

ページ範囲:P.1333 - P.1342

文献購入ページに移動
 健診という言葉の意味が,外見病気でないものに対し,健康か否かを判断することであれば,それには次の2,3の検査方式が包含されるであろう.すなわち,胃疾患などで主に行われている集団検診,“人間ドック”と称されている短期入院総合精密検診,そして“外来ドック”とも呼ばれていて,個人の健康度精査を目的とし,通院の上で各種の検査を受ける健康診断などがある.いずれも慢性の疾患,成人病などの早期発見,早期診断を意図しているもので,前者は集団としての観察と方法を用いる集団医学であり,一臓器を中心に検査の行われることが多い.後二者は,個体の観察を行って身体全部あるいは一部の健康度の評価を行う臨床医学で,多臓器で多目的の検査を行うことが多く,その方法論は,前者に比べて明らかに異質のものであろう.このようなことから,三者を胃疾患・胃癌という疾病に限ってみても,同一レベルでの早期発見,早期診断を論ずることは困難が伴う.そこで小文は,現在筆者らの行っている胃集検,すなわち集団医学の立場をとり,得られた知見を胃癌の早期発見,早期診断という共通の目的から,広く“健診”にも指向しうるよう要点をしぼり,その考え方と実際について述べることとした.

 集団医学の立場から論ずる目的の1つは,申すまでもなく,現在のところ,胃癌の早期発見と早期診断は,胃集検によるのが最も効果的であるとされているからである.「早期発見に対する胃集検の効果」の章で後述するように,多くの点で評価されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?