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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻10号

1979年10月発行

文献概要

胃と腸ノート

PNNG実験犬における胃粘膜像

著者: 橋本忠美1 長谷川利弘1 堤京子1 田中三千雄1 鈴木茂1

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター

ページ範囲:P.1406 - P.1406

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 実験胃癌に関する研究は,1967年,杉村らがMNNGをラットに経口投与し腺胃に高率に胃癌を作成することに成功して以来既に十数年を経,さらにイヌを用いて同様に胃癌を作成することが可能となり,現在までヒト胃癌の実験モデルとして貴重な研究成果を提供してきている.実験胃癌の研究もここまでくれば残された問題として当然われわれの興味をひくのは発癌と前癌病変,とりわけ腸上皮化生との関係であるが,松倉1)がラットを用いたPNNG投与実験において腸上皮化生が癌に先行して発生してくることを確認しているものの,腸上皮化生と癌との関連についてはいまだ不明である.

 まずFig. 1を見ていただきたい.一見何の変哲もない腸上皮化生のメチレンブルー染色像と思われる方も多いのではなかろうか.これはわれわれが独自の方法で研究を進めてきたPNNG投与実験犬の128週目に幽門洞に認められたメチレンブルー染色性を有する胃粘膜のGIF-D3による近接像である.中央の濃染された粘膜面は辺縁の淡い染色部とは明らかに異なった尾根状絨毛に近い形態をとり人胃に認められる腸上皮化生の染色像と極めて類似していることがよくわかる.同部の生検組織を実体顕微鏡下に観察すると,これまた人胃ときわめて類似した上皮細胞内への点状の色素のとり込み像として認められる.このような染色部の組織像は通常幽門腺の萎縮と軽度の腺窩上皮の過形成であるが,一部の腺管には杯細胞と思われる明るい胞体を有する粘液産生の強い細胞が認められる.これまでもPNNG実験犬の胃に染色像が認められることは確認しているし,組織学的にも変化のある程度認められることはわかっていたが,このような強い染色像を得たのは最近のことである.また粘膜表面の形態も正常のものから著しくかけはなれた像としてとらえられている点で意義は大きい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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