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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻11号

1979年11月発行

今月の主題 急性胃病変と慢性胃潰瘍の関連をめぐって

主題

急性胃病変と慢性胃潰瘍の病理

著者: 中村紀夫1 桜井健彦1 長洲堯雄1 田村茂樹1 長尾房大1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学第2外科

ページ範囲:P.1473 - P.1479

文献概要

 急性胃病変は,ストレスによるもの,各種薬剤によるもの,胃の血管性変化に基づくものの3つに分類されている1).ストレスによるものとしては,熱傷によるCurling ulcer,頭部外傷や脳手術後にみられるCushing ulcer,骨折や外科手術後にみられる急性潰瘍などである.薬剤によるものとしては,解熱,鎮痛消炎剤や化学療法剤,経口糖尿病治療剤,副腎皮質ホルモン,抗癌剤などであるが,このほかにもアルコール摂取,腐蝕剤の嚥下によっても起こる.胃の血管性変化に基づくものとしては,老人などの動脈硬化性変化の強いものに胃の微小循環に悪影響を及ぼすニコチンなどの作用が加わると,急性潰瘍が容易に発生するというものである.

 しかし,その用語については,急性胃病変のほかに,急性出血性胃炎,ストレス潰瘍,急性潰瘍などがあり2),はっきりした形態学的な裏づけによるものではなく,あくまでも臨床的な総称と考えられている.少なくとも,先に述べた誘因がはっきりしていることや,病変が多発性,不整形をとり,比較的浅く,出血を伴いやすく,胃のどの部分にも発生することなどが共通している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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