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研究
対称性潰瘍から見た胃潰瘍の発生・成熟過程―その1.Kissing ulcerについて
著者: 村上忠重1 唐沢洋一2 平福一郎3 安井昭4 望月孝規5
所属機関: 1東京医科歯科大学第1外科 2旭川市・唐沢胃腸科外科病院 3Keep財団病院 4埼玉県越谷市・越谷市立病院外科 5東京都立駒込病院病理科
ページ範囲:P.1499 - P.1507
文献購入ページに移動しかしこの病理組織学的な発生論はあくまで多くの病理組織像を繋ぎ合わせて組み立てた推論であって,さらに真実であるとするためには,その経過が臨床的に忠実に追跡される必要がある.従来はこの種の臨床的追及はほとんど不可能であったが,最近は幸いに,胃粘膜を直視できる内視鏡が発達したので,不可能ではなくなった.しかし依然として困難であることには変わりはない.その理由にはいくつかあるが,癌のように病態が完成するまでに長時間を要する疾患にくらべると,凝固壊死の発生に要する時間はきわめて短く,その瞬間を証明するのに非常に不利であるということがもっとも決定的な理由である.
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