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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻11号

1979年11月発行

研究

対称性潰瘍から見た胃潰瘍の発生・成熟過程―その2.線状潰瘍について

著者: 村上忠重1 唐沢洋一2 大沼肇3 津金綏俊4 安井昭5 望月孝規6

所属機関: 1東京医科歯科大学第1外科 2旭川市・唐沢胃腸科外科病院 3旭川厚生病院麻酔科 4浜松医療センター内科 5埼玉県越谷市・越谷市立病院外科 6東京都立駒込病院病理科

ページ範囲:P.1509 - P.1514

文献概要

 胃潰瘍の発生論がやさしそうに見えて,実際は一筋縄ではいかぬしたたかさを持っていることは,前稿の「その1.Kissing ulcerについて」で述べた通りである.またこうした難しさを乗り越える便法として特殊な形を有する潰瘍を例にとるのも一法であると述べた.その意味で本稿の線状潰瘍を目標とした発生論も意味があるわけであるが,定型的な円形潰瘍とは形が違いすぎて,あるいは参考にはならないかもしれない.すなわち円形潰瘍とは全く異なった発生機序を持っているかもしれないという危惧の念はにわかには払拭しがたい.

 さて線状潰瘍の発生機序については,すでに2,3の説がある.最も有力な説が,ある程度線上に並んで発生した複数の潰瘍(多発潰瘍といってもよいかもしれない)の間が繋がるとする説,あるいは何らかの理由で発生した短いながらも線状の傾向をもった潰瘍がその尖端で再発を繰り返すことによって線の延長をもたらすとする説などである.これらの説にはいずれも内視鏡的あるいは病理的な観察による裏づけがあると言われている.しかし線状潰瘍が一挙に形成されるという説はほとんど主張されていない.私どもは偶然の機会からこの新しい第3の説を支持する症例を得た.以下それについて述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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