文献詳細
研究
対称性潰瘍から見た胃潰瘍の発生・成熟過程―その2.線状潰瘍について
著者: 村上忠重1 唐沢洋一2 大沼肇3 津金綏俊4 安井昭5 望月孝規6
所属機関: 1東京医科歯科大学第1外科 2旭川市・唐沢胃腸科外科病院 3旭川厚生病院麻酔科 4浜松医療センター内科 5埼玉県越谷市・越谷市立病院外科 6東京都立駒込病院病理科
ページ範囲:P.1509 - P.1514
文献概要
さて線状潰瘍の発生機序については,すでに2,3の説がある.最も有力な説が,ある程度線上に並んで発生した複数の潰瘍(多発潰瘍といってもよいかもしれない)の間が繋がるとする説,あるいは何らかの理由で発生した短いながらも線状の傾向をもった潰瘍がその尖端で再発を繰り返すことによって線の延長をもたらすとする説などである.これらの説にはいずれも内視鏡的あるいは病理的な観察による裏づけがあると言われている.しかし線状潰瘍が一挙に形成されるという説はほとんど主張されていない.私どもは偶然の機会からこの新しい第3の説を支持する症例を得た.以下それについて述べる.
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