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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻12号

1979年12月発行

文献概要

今月の主題 胃癌の化学療法 主題

X線像,内視鏡像の改善の立場からみた胃癌化学療法

著者: 栗原稔1 白壁彦夫1 泉嗣彦1 宮坂圭一1 丸山俊秀1 鎗田正1 有山襄1 鎌野俊紀2 岸野洋2 安井昭3 唐沢洋一4 大沼肇4

所属機関: 1順天堂大学医学部内科(消化器) 2順天堂大学医学部外科(消化器) 3越谷市立病院外科 4唐沢胃腸科外科病院

ページ範囲:P.1623 - P.1637

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 従来,胃癌の化学療法の際,原発ないし転移腫瘍が縮小しても一過性で,延命効果につながることは極めて稀であった1)2).そしてまた原発巣がある場合,化学療法によってX線や内視鏡所見の改善をみることは滅多にみられることではなかった.ところが,近年,Futrafulの経口剤,坐剤,5-FUドライシロップによる胃癌の治療が普及するにつれて,形態学的所見の明らかな改善がみられた症例の報告が増えつつある1)~10).われわれはこの10年6カ月間,X線,内視鏡,生検所見の変化に注目しながら胃癌の化学療法を実施してきた1)2)5)10).その結果,進行癌で3例の癌消失,3例の「早期癌と見まちがえる」ほどの改善,早期癌で1例の消失(本誌1663頁)を経験した.進行胃癌では,この6例ほどではないにしろ客観的に改善したといえる症例では延命効果が認められるようである.一方,固型癌の化学療法の効果判定には,腫瘍の縮小率をもってしようという動きが世界的な傾向である11)12).しかし,胃癌のように多彩な病像を示す疾患は,触診を中心とした腫瘍の縮小率で効果を論ずるには幾多の問題がある.したがって,ここではわれわれの経験した胃癌治療の実態を明らかにするとともに,実例に即して胃癌の治療効果の判定に当っては,X線や内視鏡所見が不可欠であることを述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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