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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻3号

1979年03月発行

文献概要

今月の主題 X線と内視鏡との協力 序説

X線が内視鏡に期待するもの

著者: 白壁彦夫1

所属機関: 1順天堂大学

ページ範囲:P.305 - P.307

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はじめに

 早期癌診断の進歩のあとをふりかえると,初期は,X線も内視鏡も勝手な方向を進んでいた.当時の発見能は,まことにお粗末だった.いまの欧米がそうであるように.ところが,両者の協調が軌道に乗るや否や,現状と同じくらいに最高のレベルになった.生検がポピュラーになったからといって,発見能が向上したわけでもない.疑わしきものが手術されずにすむようになった,外科の先生方を手術前によく納得させるようになった,こんなメリットが大きい,という言い方もできよう.

 悪い生検をすると,その成績が道を迷わせる,また,X線と内視鏡とが,余りにも妥協しすぎて目に余る,などの面もでてきてはいないか.ここに,いっそう厳しい立場に立って,改めて反省し,診断の向上も計ろうというのが,われわれの願いである.

 X線が内視鏡に期待する云々という前に,両者ともども,大難問をかかえている.いま,全胃癌のうち早期胃癌の占める割合が40.3%になっているというのに,食道,大腸,膵,肝ではどうだろう.食道では,東京女子医大消化器病センターの大統計で4.7%だし,うちの小経験でも10.2%だ.大腸でも,国立がんセンターの成績では9.7%で,うちの経験でも10.2%だ.膵癌は切除率で話をしなくてはならなくて,それも35%,肝癌の切除率は5%という始末である.ここに検査以前の大問題,すなわち,対象のひろいあげをどうするかという臨床的な大問題がある.

 さて,X線の側から内視鏡に期待するもの,を考えるのに,まず,ルチーン検査では,次に,精密検査では,の2項に分けて考察しよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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