文献詳細
今月の主題 消化管と血管病変
主題
文献概要
従来,消化管の虚血性病変は腸間膜動脈閉塞のように主幹動脈の閉塞による腸管壊死,壊死性病変,ないしは腸間膜血行不全のように広汎な腸管の出血性壊死を示す病変が注目されていた.しかし,1950年代から1960年代にかけて,直腸癌手術時の下腸間膜動脈の高位結紮や腹部大動脈瘤切除の合併症として,主に下腸間膜動脈領域の虚血性病変が注日されるようになり,Boleyら1)による可逆性あるいは一過性の腸管虚血,Marstonら2)による虚血性大腸炎の報告以来,主幹血管の閉塞を伴わない大腸の虚血性疾患の病像が次第に明らかにされてきた.診断や検査の面からも小腸に比して大腸では内視鏡や生検による検索が容易なこともあって報告例も増加し,最近になって直腸の虚血性病変も記載されるようになってきた.
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