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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻6号

1979年06月発行

文献概要

胃と腸ノート

食道静脈瘤の内視鏡的栓塞療法―栓塞剤について

著者: 吉野清高1 高瀬靖広2

所属機関: 1筑波大学附属病院 2筑波大学臨床医学系外科

ページ範囲:P.802 - P.802

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 末梢静脈瘤の薬剤による栓塞療法は多数の臨床例によって検討されてきた.近年,食道静脈瘤の内視鏡的栓塞療法が試みられるに及んで,より安全で確実な栓塞作用をもつ薬剤の選択の問題が提起されている.末梢静脈瘤の栓塞剤として,過去,種々の薬剤が検討されてきたが,代表的なものとしてSodium Tetradecyl Sulfate(SOTRADECOL Inj.)タラ肝油脂肪酸のアルカリ塩(MORRHUATE SODIUM Inj.)Ethanolamine Oleate Inj.(B.P. Codex)があげられる.前二者は長鎖飽和脂肪酸のアルカリ塩であり,後者は長鎖不飽和脂肪酸のアルカリ塩である.静脈における血栓形成の初期段階では,血漿中に含まれる接触因子(第ⅩⅡ因子)の活性化と,血流の停滞とが,重要な役割をもつといわれる1).脂肪酸の血液凝固系への関与について,W.E. Connerら2)の実験により,脂肪酸が血液の凝固に影響を及ぼし,なかでも長鎖の飽和脂肪酸がより確実な血栓を形成させうることが証明され,その作用機序として,松岡ら3)は,脂肪と血液凝固に関する論文で,動物性脂肪(飽和脂肪酸で代表される)に血液凝固を亢進させる作用のあることを発表し,P. Didisheimら4)は,長鎖の飽和脂肪酸が,接触因子(第ⅩⅡ因子)を活性化し,その作用は鎖の長さに比例すると発表している.またW.K. Blenkinsopp5)は飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸の血栓形成能について比較し,飽和脂肪酸が明らかに優位であるとし,その注入は静脈内のみ有効であり,静脈周囲への注入は無効であるばかりか,多くに潰瘍がみられたとしている.不飽和脂肪酸が飽和脂肪酸のように確実性が期待できない理由は血中アルブミンとのすみやかな結合による接触因子(第ⅩⅡ因子)活性化作用の失活といわれる6).しかし,結合以前に接触因子(第ⅩⅢ因子)の活性化がなされた場合,充分血栓にまで発展するものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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