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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻7号

1979年07月発行

文献概要

今月の主題 回盲弁近傍潰瘍(2)―Intestinal Behcetを中心に 主題

腸管型Behcet病の病理組織学的研究

著者: 渡辺勇1 桑原紀之1 福田芳郎1

所属機関: 1順天堂大学医学部第1病理学講座

ページ範囲:P.903 - P.913

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 Behcet病は口内アフタ・皮膚症状・眼症状・外陰部潰瘍を主症状とする症候群で,寛解と急性増悪を繰り返す慢性遷延性経過をたどる全身性疾患と考えられている.副症状としては,消化器系・心血管系・精神神経症状などが挙げられ,本症の死亡原因は,副症状を呈する病変によることが多い1).なかでも消化器系病変は多発性穿孔を有する消化管潰瘍が主体で,急性腹症の診断のもとに緊急手術がなされ救命されることも多く,Behcet病に伴う消化管潰瘍(腸管型Behcet病)の報告は臨床的に数多くなされている.しかしながら,腸管型Behcet病の潰瘍の成り立ち方を含め病理組織学的研究は数少なく,その発生病理については確立された見解を出されるまでに至っていないが,血管炎の存在が重要視されている2)3).更に,腸管型Behcet病は,腸潰瘍性疾患(腸結核,クローン病,潰瘍性大腸炎など)の臨床および病理組織学的研究の進歩に伴って鑑別上注目されており,その相違点として血管病変を指摘する人3)もあり,本症の潰瘍病変と血管病変との関係は明確にしておく必要がある.

 本稿では,腸管型Behcet病の切除腸管9例(Table 1)の全割例を中心に,病理組織学的観点から本症の初期病変を含め,潰瘍の特徴とその血管病変の関係について述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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