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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻8号

1979年08月発行

文献概要

今月の主題 微小胃癌 主題

微小胃癌(長径5mm以下の胃癌)の臨床病理

著者: 大原毅1

所属機関: 1東京大学医学部第3外科

ページ範囲:P.1037 - P.1044

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 胃癌の発生・進展などを知るためには,より早期と考えられる,より微小な胃癌を発見して,その生物学的態度を追求することが重要である.しかしながら,微小な胃癌の診断については,わが国において長足の進歩をみせた胃X線,胃内視鏡胃生検の3手段を駆使しても,その発見限界は現在のところ長径5mm位であって,これより小さな胃癌は臨床的にはほとんど発見されていない.したがって,微小胃癌という概念としては,癌巣の長径が5mm以下のものと定義するのが妥当であろうと考えられる,

 これら微小胃癌の発見には,主として他胃癌のため切除された胃を,半連続切片として全割する方法が用いられている1).しかし,臨床的に問題となる微小胃癌は,むしろ単発の微小胃癌なのであって,他の大きな胃癌に併存した微小胃癌(多発微小胃癌)は,主たる大きな胃癌に対する処置で一般的には充分であるから,単発微小胃癌とは臨床的な重要度が異なっている.ところが5mm以下の微小胃癌の発見数は少なく,しかも単発例は非常に少ない2)~4).そこで本稿では,われわれの施設において比較的多く発見,切除した単発微小胃癌(単発群)と,他の大きな胃癌との併存群(多発群)との生物学的な相違を中心に,微小胃癌の臨床病理を述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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