icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻8号

1979年08月発行

胃と腸ノート

直腸指診のすすめ

著者: 小林世美1

所属機関: 1愛知県がんセンター第1内科

ページ範囲:P.1064 - P.1064

文献概要

 消化器官は,口から肛門までを意味することは言うまでもない.ところが日本では,消化器病の専門医と自認する人々で,ルチンの外来診察で肛門まで診る人が意外に少ない.アメリカでは,初診の基本事項として直腸診を学生に教えている.したがって消化器科の医師は,すべての患者で直腸診を行う.日本では,大学のポリクリで,これを教える先生は極めて稀である.この1つをとってみても,日米の臨床医学教育の根本的相違がうかがえるように思われる.そこで私は,少なくとも消化器科を標榜するすべての先生方に,初回の外来診察において,眼瞼結膜で貧血の有無をチェックすると同様に,直腸指診を必ずやって頂くようおすすめしたい.

 私はここ数年間,全患者の初回診察と再来患者で年1~2回の直腸指診を実行している.その経験から多くを学んだ.極言するならば,直腸指診は,消化器科外来における診察行為のほぼ50%を占めるのではないか.換言すれば,直腸指診なしでは,消化器疾患に関する診察の約50%を施行したにすぎない.口腔内をのぞいたり,腹部の触診だけで終わっては,得られる所見が余りに少ない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら