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文献詳細

雑誌文献

胃と腸14巻8号

1979年08月発行

研究

微小胃癌A.H染色による病理学的検索の1方法

著者: 鈴木博孝1 長与健夫2

所属機関: 1東京女子医科大学消化器病センター外科 2愛知県がんセンター病理

ページ範囲:P.1117 - P.1124

文献概要

 早期胃癌診断の進歩により微小癌(最大径0.5cm)の発見も可能になったといわれる.しかし切除胃を手に取って調べてもわからない癌腫があり,かなり大きなものでも組織で初めて診断されるものなどがある.現実には容易に診断できるものではない.組織診断をあてにして全縦割半連続標本を作成しても約0.4cmのブロックの間に癌腫が逃げることもあって,盲目的検索を行うことにも問題がある.

 微小癌の診断能を向上するには,まず癌腫の存在を肉眼でとらえ,疑わしい病変も含めて組織判定することが大切で,つぎにその性状を知って診断と治療に役立てる手続きが必要であろうと考えられる.そこで微小癌発見の1方法として,切除胃をそのままA・H法1)で染色し,肉眼で粘膜表面から検索することを試みた.A・H法は胃粘膜の微細変化を色調と形態に現わし,現状では腸上皮化生,異型病変,とくに癌腫の表面形態と浸潤範囲(酵素発色法ではわかりにくい)の観察に最適な方法と思われる.今回はA・H法で発見した微小癌を中心に年齢,癌腫の色調,染色性,形態,病巣数,占居部位,大きさと組織型などを検討し,粘膜表面観察の限界などについて述べたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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