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文献詳細

雑誌文献

胃と腸15巻1号

1980年01月発行

文献概要

今月の主題 胃病変の時代的変貌 主題

切除胃を中心としてみた胃・十二指腸潰瘍の時代的変貌

著者: 長与健夫1 横山秀吉2 横山泰久2 横山功2

所属機関: 1愛知県がんセンター研究所第1病理部 2横山胃腸科病院

ページ範囲:P.35 - P.41

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 どのような疾患も時代の移り変わりとともにその頻度が増減したり内容が変化する要素をもっており,感染症はその最たるものといえよう.かつてわが国に結核が蔓延し国民病といわれる時代もあったが,治療薬の開発,衛生思想の普及や生活環境の向上によって,この病気はもはや予防し治療しうるものとして国の医療上の重大問題ではなくなってきた.

 これに対して非感染性の疾患は概して病因が複合的で内外の諸因子が複雑に絡み合う場合が多く,国民の平均寿命の延びによって象徴されるような社会環境の改善や医療知識,医療内容の向上によって各疾患の頻度に多少の消長や盛衰はあるにしても,感染症ほどに著しいはやりすたりはない.しかし公害病によって代表されるように時代社会の影響が敏感に反映されるものもあり,ストレスが主因とされる胃や十二指腸の潰瘍症も生活環境とは決して無縁ではなく,そのような意味でこの疾患カテゴリーに入れて差し支えがないかもしれない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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