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文献詳細

雑誌文献

胃と腸15巻1号

1980年01月発行

文献概要

今月の主題 胃病変の時代的変貌 主題

胃の線状潰瘍はどう変わったか

著者: 安井昭1

所属機関: 1山口大学医学部第1内科

ページ範囲:P.69 - P.72

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 まず,線状潰瘍という言葉の由来についてふれておきたい.

 昭和26年(1951)頃,当時の昭和大学外科において村上忠重教授(現東京医歯大教授)と鈴木武松講師(現東京都品川医師会)が胃の線状潰瘍の病理の研究を始めたのは胃潰瘍の発生理論が知りたかったからであるが,なかなか潰瘍の特徴をつかめなかった.また一番困ったことは潰瘍がなおる病変であるということであった.このような時期に村上教授は鈴木先生の学位論文のテーマとして線状潰瘍を選んだのには次に述べるようないきさつがある.「こんな変な潰瘍(2,3の線状潰瘍,東大例)がある.潰瘍は丸いもの(円形~楕円形)と教えられているが,これも潰瘍の一種らしい.こういう風変わりな潰瘍を研究すると,あるいは本物の成り立ちがわかるかもしれない7)8).」これが胃の線状潰瘍と臨床病理学的(Hauser1)2)は1883年,明治16年の論文に線状潰瘍を線状癩痕として記載している)に本格的に取り組むきっかけとなり昭和29年(1954年一胃カメラが世に出た頃)の外科学会総会3)で初めて外科的材料を用いて胃の線状潰瘍という言葉を用い公式に発表し認められたという経緯4)がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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