文献詳細
文献概要
今月の主題 胃病変の時代的変貌 主題
腸上皮化生はどう変わったか
著者: 竹本忠良1
所属機関: 1山口大学医学部第1内科
ページ範囲:P.73 - P.76
文献購入ページに移動 昭和元禄時代は短く,低成長時代に移行したが,このところ日本人の食生活と栄養状態の変貌のはげしさは多くの人が指摘するところである.かつて,われわれの世代は,あまりにも貧しく悲惨な食生活を体験した.その記憶は脳裡にべったりこびりついていて,いまなお現在のeating patternを規制しっづけている.大戦中の食生活が,われわれの世代の胃粘膜などにどのような影響をあたえたのであろうか.なんとかそれを調べてみたいという欲求はもっている.すでに国民の大部分は飢えの苦しみの経験をしらず,あまりにも豊かな現在の食生活は,欧米化の流れにまかせきった受け身の状態である.
このような食生活の大きな変化が,日本人の慢性胃炎に対して,はたしてどのような影響をもたらしているのであろうか.世代間の歪みを考慮して検討すればたいへん興味ある問題である.すでに,胃癌の訂正死亡率はかなり急激な減少をみていることが疫学者によって指摘されているが,その原因の1つとして食生活をふくめた生活環境の激動を無視することはできない.周知のように,慢性胃炎の成因は依然として曖昧模糊の状態であるが,最近では心因・精神的ストレスの持続によるemotionalgastritisも関係すると推定されているほかに,低栄養状態が関係することは古くから議論されているところである.
このような食生活の大きな変化が,日本人の慢性胃炎に対して,はたしてどのような影響をもたらしているのであろうか.世代間の歪みを考慮して検討すればたいへん興味ある問題である.すでに,胃癌の訂正死亡率はかなり急激な減少をみていることが疫学者によって指摘されているが,その原因の1つとして食生活をふくめた生活環境の激動を無視することはできない.周知のように,慢性胃炎の成因は依然として曖昧模糊の状態であるが,最近では心因・精神的ストレスの持続によるemotionalgastritisも関係すると推定されているほかに,低栄養状態が関係することは古くから議論されているところである.
掲載誌情報