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文献詳細

雑誌文献

胃と腸15巻2号

1980年02月発行

文献概要

研究

Linitis plastica型癌の発育過程に関する研究

著者: 中村恭一12 加藤洋1 美園俊明12 菅野晴夫1 杉山憲義3 馬場保昌3 丸山雅一3 高木国夫4

所属機関: 1癌研究所病理部 2筑波大学基礎医学系病理 3癌研付属病院内科 4癌研付属病院外科

ページ範囲:P.225 - P.234

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 胃癌に関するX線・内視鏡診断学の著しい進歩にもかかわらず,極めて予後の悪いいわゆる形成性胃炎Linitis plasticaまたはスキルス(Skirrhus)とよばれている胃癌の早期診断が確立されていない.著者ら(1975,1976)4)5)は,Linitis plastica型になる癌の大部分は胃底腺粘膜から発生した癌であることを示唆し,また,渡辺(英)・八尾(1976)12)も同様の結果を報告している.一方,胃底腺粘膜から発生した癌のX線的特徴を,杉山・丸山(1976)10)が報告している.しかしながら,胃底腺粘膜から発生した癌にはHc,Hc+HI型早期癌,およびBorrmann型進行癌があり,どのような早期癌・Borrmann型進行癌がLinitis plastica型に移行して行くのかは不明である.さらには,X線上でLinitis plastica型の典型とされている革袋leather bottle状態になるのには,癌発生からどれ位の時間を経過しているのかが不明である.これらLinitis plastica型の癌発生からの発育過程が解明されれば,Linitis plastica型になる以前の状態,つまり早期診断のための手がかりが把握されるであろう.

 本研究の目的は,癌発生からLinitis plastica型になるまでの発育過程を解明しようとするところにある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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