胃と腸15巻3号

1980年03月発行

今月の主題 症例特集

症例

回虫症の1例―十二指腸乳頭開口部に迷入した回虫の内視鏡的観察

著者： 白塚正典¹ 桑原徳次² 白塚元子¹

所属機関： ¹国保報徳病院内科 ²国保報徳病院外科

ページ範囲：P.331 - P.334

文献概要

　戦後都市農村の別なく，多くの感染率を示した回虫症は，「稀な胃病変」の症例特集¹⁾²⁾にとりあげられるほど急速に低下した．しかし，地域的にはいまだ相当の感染率を示しており²⁾¹⁰⁾，当院においても，腹部の痂痛ならびに不定愁訴で受診する患者の中に，回虫が原因であることがかなり多い．当院において，過去2年間の消化管X線検査および内視鏡検査で観察した回虫症は11例になる．このなかの興味ある1症例を中心に，当村の一地区を調査した寄生虫卵保有の現状などについて報告する．