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文献詳細

雑誌文献

胃と腸15巻6号

1980年06月発行

文献概要

今月の主題 小膵癌診断への挑戦 主題

原発性膵癌の病理組織学的研究―膵癌全割例からみた癌の膵内・膵外での進展様式について

著者: 福田芳郎1 炭田正孝2 有山襄2 橋本敬祐3

所属機関: 1順天堂大学第1病理学教室 2順天堂大学消化器内科 3順天堂大学第2病理学教室

ページ範囲:P.627 - P.635

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 膵癌疾患の予後は極めて不良である.姑息的手術あるいは試験開腹に終わった膵癌患者のほとんどは半年以内に死亡し,切除例においてもその大部分は1年以内に死亡している1).1965年の愼・佐藤の全国集計2)と1975年の本庄・中瀬・内田の全国集計3)を比べてみても5年以上生存例はそれぞれ耐術者152例中5例,301例中7例となっており,10年たった時点でも遠隔成績の向Lは認められず惨澹たる状態である.このことは膵臓が後腹膜に位置するという解剖学的位置関係の問題と同時に,膵癌には特異的な臨床症状がないという症候学的な問題のために膵癌の早期診断が困難であったことに起因する.

 近年,内視鏡的膵胆管造影,血管造影といったX線診断学の進歩に伴い,膵内に限局する小さな膵癌が術前に診断され切除されるようになってきた4)5).1968年,Boijsenは血管造影で診断できる膵癌の大きさの限界は2cmであると報告した6)が,現在では1cm膵癌の診断が可能であるの4)5)7)~9).しかし,一般的にはこのような小膵癌が術前に診断,切除されることは稀で,膵内に限局する小膵癌の臨床的,並びに病理学的特徴は十分把握されていないのが現状である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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