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今月の主題 大腸憩室
主題
文献概要
大腸憩室はVoigtel(1804)によって初めて記載されたが,1900年以前にはほとんど知られていない稀な疾患であった1).それが1920年頃から増加の傾向を示し,近年に至っては60歳以上の1/3には存在すると推定される程の高頻度な疾患となり,‘fiber deficiency disease'と考えられるようになってきた.周知のように,欧米にはS状結腸憩室が多く,わが国では右側結腸憩室が多い.Painterらの結論するように,この疾患が欧米型の低残渣食の摂取が習慣化してから約40年後に発症してくるものならば,近い将来にわが国においても高頻度の疾患となる可能性がある1).したがってこの時期に,治療的に問題の多い欧米型大腸憩室をよく理解しておくことは意義深いことであろう.本稿では,従来わが国でしばしば取り上げられてきた右側結腸憩室はさて置いて,主として問題の多い左側結腸憩室の最近の動向に焦点を絞って述べることにしたい.
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