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研究
高年齢者における大腸憩室症―連続剖検1,000例に基づく検討
著者: 日野恭徳1 山城守也1 嶋田裕之2 金沢暁太郎3
所属機関: 1東京都養育院付属病院外科 2東京都養育院付属病院病理 3筑波大学臨床医学系外科
ページ範囲:P.871 - P.876
文献購入ページに移動大腸憩室疾患は,人種や地域によって発症頻度,発生部位,臨床症状の面で著しい差異がある.欧米では,筋層の異常を伴うS状結腸の憩室例が多く,病態の根底をなすものはこの筋層異常であるとの観点から,大腸憩室疾患diverticular diseaseの概念が確立されている.一方,本邦例では,従来より,欧米で極めて少ないとされている右側憩室が主であったが,近年,高年齢者を中心に,欧米型のS状結腸憩室も徐々に報告されはじめ,出血,穿孔などの合併症の問題も生じてきた.しかし,剖検例にょる詳細な頻度や発生部位の検討,さらに,本邦では欧米型の筋層異常は存在するのか,といった点に関しては,十分に解明されているとはいい難い.
われわれは,主として60歳以上の高年齢者よりなる連続剖検1,000例の大腸検索により,高年齢者における大腸憩室疾患の特徴を検討した,この結果は,今後の本邦症例の病態を考察する上で参考になると考えられる.
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