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研究
文献概要
大腸憩室疾患はこれまで多くの人達によっていろいろ分類されてきた1)~3).このうち,特にPerry & Morsonは憩室の存在部位と結腸の筋層異常(結腸紐が肥厚短縮し,内輪筋も肥厚した状態でMorsonはmuscle abnormaliteと表現した.)の有無によって大きく4つのtypeに分類している.すなわち第1のtypeはS状結腸に多発し筋層異常を伴うもの,第2のtypeはS状結腸を含んだ大腸全体または一部に多発性憩室を認めるが,筋層異常を伴わないもの,第3のtypeは右側結腸の単発性憩室,そして第4のtypeは右側結腸多発性憩室である.このうち,第1,第2のtypeは欧米特に白色人種によく見られ研究もよくなされてきた.第3のtypeである右側結腸単発性憩室は他の大腸憩室が固有筋層を欠如した仮性憩室であるのに反し,腸壁全層を有する先天性真性憩室の方が多いとの報告がこれまで多かった4)5).しかしHughesは200例の解剖例中,3.5%に盲腸単発性憩室を発見したがすべて仮性憩室であったと報告している6).今後,この点に関しさらに詳細な病理組織学的研究が必要であると考える.一方,Fig. 1のような第4のtypeである右側結腸多発性憩室は欧米では非常に少なく,症例報告されているほどである1).従来,右側結腸多発性憩室では筋層異常を伴うことは少なく,左側結腸多発性憩室とは成因的に異なるのではないかとされてきたが7),理論的根拠に乏しい.その発生頻度が非常に高いことより8)右側結腸多発性憩室の成因を究明することは,わが国に課せられた研究課題であるといえよう.そこで右側結腸多発性憩室の成因を明らかにする目的で,その切除標本につき形態学的,病理組織学的検討を試みてみた.
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