icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸15巻9号

1980年09月発行

文献概要

症例

背景粘膜にびまん性過形成性結節を伴った多発大腸癌の1例

著者: 広岡大司1 中村真一3 喜納勇3 湯浅肇1 吉田脩一1 柴田皓示1 茂木安平1 錦野光浩2 甲田安二郎2

所属機関: 1藤枝市立志太総合病院内科 2藤枝市立志太総合病院外科 3浜松医科大学病理学教室

ページ範囲:P.987 - P.994

文献購入ページに移動
 最近,われわれは横行結腸から直腸までびまん性に過形成性結節を認め,さらに多発性の腺腫性ポリープと大腸早期癌を合併した症例を経験した.家族性大腸腺腫症では腺腫の芽から腺腫へ,そして多数の腺腫を背景とする粘膜から癌が発生するという過程が明らかにされているが,われわれの症例ではびまん性に無数の過形成性結節を背景病変として腺腫や癌が発生したものと考えられ,この背景粘膜が発癌となんらかの関係があるのではないかと推定される.過形成性(化生性)ポリープそのものからの癌化は否定されている今日,本症例の意義は少なくない.さらに,大腸粘膜にびまん性に過形成性結節を示す症例は,本邦のみならず欧米の文献にもほとんど見出すことができず,極めて貴重な症例と考えられるのでここに報告したい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?