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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻1号

1981年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌は変貌したか 主題

早期胃癌の変貌―X線診断の立場から

著者: 熊倉賢二1 杉野吉則1 石引久弥2 大久保忠成3 馬場保昌4 丸山雅一4 杉山憲義4

所属機関: 1慶応義塾大学医学部放射線診断部 2慶応義塾大学医学部外科 3済生会中央病院内科 4癌研究会付属病院内科

ページ範囲:P.35 - P.46

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 1980年1月,本誌に胃病変の時代的変貌が特集された.その誌上で,高木ら1)は,早期胃癌の時代的変貌を次のようにまとめている.(1)早期胃癌の症例数の増加(手術例の28.1%)が最も大きな変貌である.(2)ⅠおよびⅡaは,数のうえでは増加しているが,早期胃癌全体の中では比率は減少している.(3)Ⅱc+Ⅲ,特にⅢが減少しているのに反して,Ⅱcが増加し,48%と半数近くを占める.(4)Ⅱbの増加(4%となる).(5)5mm以下の微小癌の発見数の増加(11例).(6)早期胃癌の占居部位をみると,Mの癌の頻度がAの癌よりも多くなり,逆転しているのが特徴である.しかし,Cの癌の増加傾向は少なかった(進行癌ではCの癌の増加傾向がみられた).(7)多発癌の増加(3.1%→6.3%→11.4%).

 また,加藤ら2)は病理組織学的立場から,切除された全胃癌(進行癌ならびに早期癌)では,分化型癌と未分化型癌の比(DUR)が男女ともに低下傾向がみられ,分化型癌の相対的減少があることが示唆されたと報告している.そして,胃癌の占居部位については,DURは,元来胃幽門腺領域である部位では著変なかったが,元来胃底腺領域である部位では著しく低下した(推計学的に有意).特に,萎縮や腸上皮化生の起こりやすい部位の低下は顕著であったと述べている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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