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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻1号

1981年01月発行

文献概要

今月の主題 早期胃癌は変貌したか 主題

早期胃癌の変貌―胃癌の自然史解明の立場から

著者: 春日井達造1 吉井由利1 杉浦弘1 小林世美1

所属機関: 1愛知県がんセンター第1内科

ページ範囲:P.57 - P.69

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 人の胃癌がいかにして発生し,どのように発育,進展してゆくかという自然史を明らかにすることは,胃癌の診断を的確にし,治療法を確立するうえに極めて重要なことである.しかし,これには臨床上種々困難な問題が伴い解明に至っていなかった.戦後X線検査法の進歩,内視鏡診断,生検の開発,進歩と普及によって,この二十年来例外的な少数例ではあるが,これら資料の集積とreviewによるretrospectiveなfollow-upが行われ,胃癌の発生,早期胃癌から進行胃癌への進展過程などの解明にヒントを与える報告が相次ぎ1)~23),そのアウトラインがほぼ明らかにされてから早や十数年が経過した.

 現今,早期胃癌の診断法は確立され,発見も容易となったが,全国的な視野でみれば,実際にはまだ進行胃癌が多数を占めているのが偽らざる現状である.かかる環境にありながら,過去15年以前と比較し,早期胃癌は変貌を遂げたであろうか.この疑問に答えるために最近の十数年間の自験例に基づき,胃癌の発育進展を検討し,胃癌の自然史解明の立場から早期胃癌の変貌の様相をさぐってみた.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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