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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻1号

1981年01月発行

文献概要

研究

クローン病の走査電顕的観察

著者: 更科広実1 岩崎洋治1 樋口道雄2 長尾孝一3 滝沢淳3

所属機関: 1筑波大学臨床医学系外科 2千葉大学医学部病院手術部 3千葉大学医学部病理学教室

ページ範囲:P.111 - P.117

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 クローン病は医科学国際組織委員会(CIOMS,1973)による“名称と概念”の中にみられるように,消化管のいずれの部位にも発生する慢性の限局性非特異性炎症である1).本邦においてもこの疾患の概念がしだいに明確となり,その診断基準(案)も発表され,全国的に報告例が増加してきている2).このクローン病はいまだ原因が不明で,保存的治療による効果が少なく,外科的治療も術後の再発が高率にみられるなど,難治性の疾患とされており,その本態の究明が期待されている.

 Morson(1971)によれば,クローン病の早期病変は肉眼的にアフタ様の潰瘍性病変として認められ,組織学的には粘膜に潰瘍を伴ったリンパ濾胞の増殖が特徴的であるとされている3).このような早期病変や更に軽微な変化として認められる初期の病変を解析することは,病因の解明と共にクローン病の治療,手術適応や切除範囲を決定するうえに極めて重要なことである.そこで今回われわれはこのような病変がどのような形態を示しているかを知るため,走査電子顕微鏡(以下,走査電顕と略す)を用い粘膜表面から立体的に観察したので報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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