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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻10号

1981年10月発行

文献概要

胃と腸ノート

内視鏡的に採取したヒト純粋膵液中protein plugの形態学的研究

著者: 三島邦基1 原田英雄1

所属機関: 1岡山大学大2内科

ページ範囲:P.1074 - P.1074

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 十二指腸ファイバースコープの登場により非観血的に膵管から純粋膵液を採取することが可能となった.純粋膵液採取法を用いての研究は,細胞診による膵癌の診断,膵液の生化学的分析による膵外分泌の生理・病態生理の解明,膵外分泌機能検査への応用などへ発展してきた.

 本採取法を用いて,いわゆるprotein plugの形成機序を明らかにする試みもまた興味ある研究課題の1つである.慢性膵炎確診例あるいは疑診例の純粋膵液中のHexosamine濃度,カルシウム濃度が著明に増加していることは既に報告したとおりである.この異常は特に空腹時に膵管内に貯溜している膵液において著明で,加うるに,高度膵外分泌機能障害例を除けば,蛋白濃度および粘稠度の増加をも伴っている.このような患者の純粋膵液にはしばしばprotein plugおよびゼリー状粘液浮遊物を認めるが,その数量は症例により様々である.このゼリー状浮遊物およびprotein plug を取り出して形態学的および組織化学的に検討すると,protein plugの様々な形成段階を明らかにすることができる.従来,慢性膵炎例切除膵の切片の組織化学的検討によってもprotein plugの形成機序に関して,かなりの情報が集積しているが,本採取法の長所は何といっても,①様々な形成段階にあるprotein plugを豊富に得ることがきる.②plugを切片標本に作るのみならず,そのままの状態で固定して立体的な観察を行うことができる,③多数のprotein plugを集めることができるので,その生化学的分析をも行うことができる,ことである.紙数の関係で方法論の詳細は省かざるを得ないが,様々な形成段階にあるprotein plugの観察,対比検討からその形成機序は次のごとく考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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