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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻12号

1981年12月発行

文献概要

今月の主題 胃のⅡb病変 主題

臨床的Ⅱb病変の検討―X線・内視鏡診断の立場からみたⅡb病変の幅

著者: 馬場保昌1 二宮健1 大橋康世1 久原敏夫1 池田滋司1 古賀正広1 杉山憲義1 竹腰隆男1 丸山雅一1 熊倉賢二2 高木国夫3 大橋一郎3 加藤洋4

所属機関: 1癌研究会付属病院内科 2慶応義塾大学医学部放射線診断部 3癌研究会付属病院外科 4癌研究会付属病院病理

ページ範囲:P.1297 - P.1314

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 典型Ⅱbのほとんどは,5mm以下の微小な胃癌である.Ⅱbに対する肉眼型分類の定義を厳密に行ったとしても,そうすることが一般的な大きさの早期胃癌を対象とした通常の臨床診断にとってどのような意義を持つことになるかは疑問である.凹凸による粘膜面の形態的変化が軽微な癌に対するX線・内視鏡的な診断限界を追求することを目的とした場合には,Ⅱbの定義を厳しくしておくことも確かに必要である.ところが,そうすると冒頭に述べたようにⅡbのほとんどは5mm以下の微小な胃癌しか存在しないことになり,通常のX線・内視鏡診断にとっては極めてまれな病変でしかなく実際的ではないことになる(Table1,2を参照).一方,一般的な大きさの胃癌の中には,周囲粘膜に対して肉眼的に多少の高低の差があっても,X線・内視鏡的には存在診断あるいは質的診断が困難な癌も少なくはない.このような病変は,ⅡbをX線・内視鏡的に診断が困難である癌と解釈することによって,臨床診断にとってのⅡbということになる.こういったことからは,Hbを臨床的な立場から眺め,X線・内視鏡診断にとって診断が難しい癌とみなして検討することも有意義であるように思われる.

 以上のような観点から,本稿ではⅡbを臨床診断の立場から“肉眼的には周囲粘膜に対して軽度な高低の差が認められても,X線・内視鏡的に診断が困難である癌”と定義し,この臨床的なⅡbにはどのような病変が対象となりうるか,そしてそれらはどのようなX線・内視鏡所見ならびに組織学的所見を示しているかについて検討し,臨床的なⅡbに対しての診断の指標を求めてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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