今月の主題 胃リンパ腫(2)―良性リンパ腫
主題
胃良性リンパ腫の臨床診断―特に肉眼分類について
著者:
川口新平1
中沢三郎1
芳野純治1
市川朝洋1
所属機関:
1名古屋大学医学部第2内科
ページ範囲:P.137 - P.144
文献購入ページに移動
良性のリンパ細網系細胞の増生は,1928年Konjetzny1)が“lymphatisch-hyperplastischer Gastritis”の名称で記載して以来,種々の変遷があったが,本邦では1966年に中村2)がreactive lymphoreticular hyperplasia(RLH)として6症例の報告を行って以後,この名称が一般的となっている.しかし,本疾患の悪性リンパ腫ならびに早期胃癌との臨床的鑑別が注目され,症例の報告が増加するに伴い,反応性増生のみならず,腫瘍性の性格をもったものあるいは良悪性境界領域病変の報告が散見されるようになった.それゆえに近年,潰瘍や慢性炎症による反応性のlymphoreticular hyperplasiaと良性リンパ腫を分けて考える学者も増加している.
今回の特集に際し,反応性のlymphoreticular hyperplasiaと良性リンパ腫が臨床的に十分検討されていない現在,便宜的に両者を合わせて良性リンパ腫としてX線・内視鏡検査所見,切除胃肉眼所見を中心に検討を行った.