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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻2号

1981年02月発行

今月の主題 胃リンパ腫(2)―良性リンパ腫

主題症例 胃良性リンパ腫症例

多発胃reactive lymphoreticular hyperplasiaの1例

著者: 川崎恒雄1 菊池正教2 高原信敏1 佐藤彰治1 中島昭3 中村恭一2

所属機関: 1取手協同病院外科 2筑波大学基礎医学系病理 3東京医科歯科大学医学部第1外科

ページ範囲:P.189 - P.195

文献概要

 胃reactive lymphoreticular hyperplasia(以下,胃RLHと略す)は1928年,Konjetzny1)が慢性胃炎の特殊型として記載しているが,近年,臨床診断学上,早期胃癌と鑑別困難な胃疾患の1つとして注目されている.RLHは組織学的には悪性リンパ腫との鑑別および悪性リンパ腫への移行の有無に興味が注がれ,その悪性化を肯定するようなRLHを伴った悪性リンパ腫の報告例も多くなってきた.ただし,その本態ならびに悪性化の有無についてはまた問題の多いところで,中村ら2)のいう限局・肥厚型で潰瘍による反応性変化とは思えない型も多く報告されるようになり,いわゆる炎症性反応像すなわち二次的変化のもののほか,benign lymphomaともいうべき腫瘍性を帯びた一次的変化のものとに分けて考えざるを得ない症例3)~6)11)も増加してきている.

 われわれも最近,多発Ⅱcの疑いのもとに入院,内視鏡的生検組織診でRLHの疑いと診断されたが,易出血性の病変が多発し,その多彩さのため悪性病変も完全に否定できず,手術を余儀なくされた胃RLHの1例を経験し,組織学的検索で独立した14個の病変が確認された興味ある症例を報告する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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