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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻2号

1981年02月発行

文献概要

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編集後記 フリーアクセス

著者: 中沢三郎

所属機関:

ページ範囲:P.234 - P.234

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 胃の悪性リンパ腫を特集した際に,反意語としての良性リンパ腫を取り上げないと片手落ちであろうということで本特集号が企画されました.ところが,胃の良性リンパ腫とは何かとよく考えてみますと意外に実体がはっきりせず,谷口論文に述べられているごとく,リンパ細網系に関しては良性腫瘍の概念は明確ではないのであります.

 良性のリンパ細網系細胞の増殖については1928年Konjetzny以後,Smith & Helwig,Schindlerの報告があり,日本では中村先生のRLHはあまりにも有名であります.以後,数多くの臨床例が発表されており,主として胃癌,特にⅡc型胃癌との鑑別が問題となっておりましたが,最近では,この中に反応性変化もあれば良性腫瘍と考えたほうがよい症例や,どちらとも言えない境界領域のものまで様々な性格をもったものが含まれることが判明してきました.この問題の探究につきましては,単に胃局所のみではなく全身的なリンパ腫との関連で論ぜられるべきでありましょうが,一方,これら本態論は別にして,既に多くの読者が御経験のごとく,RLHと思っていたら実は悪性リンパ腫であったり,また,その逆もみられたり鑑別診断は厄介なものであります.これらの諸問題を一括して理解していただくため,本号では,いわゆる胃の良性リンパ腫についての概念が手際よく整理され,同時に悪性リンパ腫との鑑別点としてX線内視鏡所見および興味ある多数の症例が掲載されています.悪性リンパ腫との区別はなお容易ではありませんが,それでも詳細な所見の読影により,かなりの程度に鑑別が可能となりっっあります.本特集がその一助となれば幸いです.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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