icon fsr

文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻3号

1981年03月発行

文献概要

今月の主題 虚血性腸炎の臨床と病理 主題症例 虚血性腸炎

上腸間膜動脈のmycotic aneurysmによって回腸出血性梗塞を惹起した1剖検例

著者: 中英男1 五十嵐正広1 奥平雅彦1 勝又伴栄2 岡部治弥2 草野正一3

所属機関: 1北里大学医学部病理学教室 2北里大学医学部内科 3北里大学医学部放射線科

ページ範囲:P.327 - P.331

文献購入ページに移動
 腸循環障害性病変は近年,増加の傾向にある.特に慢性腎不全や敗血症のごとく全身状態の不良な患者に原因不明の消化管出血が,ときに認められるが,その原因の1つにmycotic aneurysmがある.

 われわれは慢性腎不全患者で消化管出血を来し,上腸間膜動脈のmycotic aneurysmによって惹起された区域性の腸循環障害性病変を経験したので報告し,この病態への注意を喚起したい.

 症 例

 患 者:66歳,女.

 主 訴:下血.

 既往歴:15歳および25歳のときに肋膜炎.

 現病歴:1977年(64歳)ごろから眼瞼浮腫が出現し,同年11月には近医にて腎疾愚を指摘されて,1カ月間入院治療を受けた.

 1978年頭初から全身倦怠感,眼瞼浮腫および視力低下が出現し,同年8月に北里大学病院を受診した.

 1978年9月8日には本院で慢性腎不全と診断され,第1回目の入院をした.血液透析を行うも心不全出現のために腹膜透析に変更し,以後の1週間に3回の透析を行った.

 1979年3月17日には某病院へ転院し,透析を週4回行っていたが,同年8月30日ごろから腹膜透析の排液が軽度の混濁を示してきた.そのために,腹膜透析用の溶液に抗生剤を注入し,透析を続けた.

 同年9月4日から赤黒色便が出現し,翌日になっても下血が持続したために,sigmoidoscopyが施行されたが,出血部位は判明せず,9月6日には北里大学病院へ転院となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら