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文献詳細

雑誌文献

胃と腸16巻4号

1981年04月発行

今月の主題 胃リンパ腫(3)―鑑別

主題

胃悪性リンパ腫のX線所見の検討―癌・RLHとの鑑別

著者: 二宮健1 馬場保昌1 丸山雅一1 杉山憲義1 竹腰隆男1 斉藤達雄1 高木国夫2 加藤洋3

所属機関: 1癌研究会附属病院内科 2癌研究会附属病院外科 3癌研究会附属病院病理

ページ範囲:P.371 - P.387

文献概要

 胃悪性リンパ腫は,胃原発悪性腫瘍の中では比較的まれな疾患である.胃癌に対する頻度についてみると,中村ら15)によれば0.5~7.6%である.近年,X線・内視鏡診断技術の進歩と共に悪性リンパ腫の手術もわずかながら増加しつつある.

 悪性リンパ腫に対する初回時X線診断についてみると,病変の進行程度にかかわらず,その多くは胃癌と診断されている10).癌と診断されやすい傾向にあることについて考えると,単に悪性リンパ腫と癌との鑑別が難しいことだけでなく,胃の悪性腫瘍のほとんどが癌であり悪性リンパ腫は少なく,しかも癌と悪性リンパ腫とではX線・内視鏡的によく類似した所見を示すといったことから,胃の悪性病変はすなわち癌といった観念的な診断を行いやすい状況下にあることがその原因の1つであろう.ところで,臨床診断体系の中で,良・悪性の判定に当たって最も重視されている生検組織診断成績についてみると,悪性リンパ腫病変に対する質的診断率は50~60%8)10)にすぎない.したがって,胃癌の場合とは異なり,胃悪性リンパ腫では最終的な良・悪性の判定をX線・内視鏡診断に頼らざるを得ないといった事態も生じてくる.このような胃悪性リンパ腫に関する臨床診断上の問題点を解決するためには,数多くの症例を集め,それらのX線・内視鏡所見を系統的に検討することが必要である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1219

印刷版ISSN:0536-2180

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